有限会社ユニオン技研
UNIONGIKEN Y.K.
トップページ はんだ付けの
ページ
はんだ付けのプロ
フェッショナルのページ
ショッピング
&資料請求

ステレオ&オーディオ
電子機器
設計開発
会社概要 English
Page
トップページ<ステレオ&オーディオ<オーディオあれこれ
ステレオ&オーディオ
トップページ

 
オーディオあれこれ その2

                                           (有)ユニオン技研 小田切 高司

  ○ プリアンプ編


 オーディオ用のアンプには、大きく分けてプリアンプとメインアンプ(パワーアンプ)という2種類のアンプが存在します。
その中でもプリアンプには、MCヘッドアンプ、イコライザーアンプ、フラットアンプなどのアンプが内蔵されているのが一般的です。 
ここではそのプリアンプについてあれこれ書いて見たいと思います。


 プリアンプ(コントロールアンプ)、一般の人にはあまりなじみのない名称だと思いますが、オーディオシステムの中では、レコードやCD、チューナーなどの音楽ソースを選択し、音量を調整するなどシステム全体の音質を決定する大変重要な役割を担っているアンプです。

 最近ではレコードをあまり聞かなくなったせいか、レコード再生に必要なイコライザーアンプが搭載されていない製品も有る様ですが、レコード編でも書きました様に、私はオーディオに取ってレコードとは切っても切れない間柄と思っていますので、プリアンプの中でも取り分け重要なイコライザーアンプから解説しましょう。

 レコード編で説明しました様に、レコードは音楽信号を溝の形で記録して行きます。
音楽信号の中で低音部はその振幅が大きく、となりの溝と重ならないように溝を切って行きますと、溝の間隔を大きく取らなければならず、録音時間が短くなってしまいます。

 また、高音部は逆に振幅が小さいため、埃や小さな傷などに紛れ易くなってしまいます。 そこで、レコードに記録する際には、その周波数に合わせ低音部は減少させ、高音部を増強させる様な周波数特性を持たせて記録する方法が採用されています。これをRIAA特性と言います。
 再生する場合には、これとは逆に低音は増強し高音を減衰させる周波数特性を持たせイコライズ(等価)するイコライザーアンプが必要になります。
 

   (注)RIAA(リアー)特性又は、RIAAカーブとも言いますが、通常は再生時に使用する特性をRIAA特性
      (またはカーブ)と言い、録音時に使用する特性は逆RIAAカーブと呼ぶ事が多いです。


 レコード編で説明したクリスタルカートリッジは、その物理特性から自然と補正が行われ、特にイコライザーアンプを必要としません。 しかしその音は余り良い音とは云えませんので、今では殆んど使用される事はないと思います。
 大半のプレーヤーにはMM型又は、MC型のカートリッジが使用されていますが、この型のカートリッジはレコードに刻まれた信号をそのまま忠実に再生しますので、逆RIAAカーブに従った、低音が小さく、高音が強調された信号として出力されます。
 逆RIAAカーブで録音したレコードは、1KHzを基準に20Hzでは基準値の1/10に減衰させ、20KHzでは基準値の10倍に増強されています。
 カートリッジからの信号をそのまま増幅したのでは、上記の様なかなりバランスの悪い音になってしまいます。
そこでイコライザーアンプは、低音(20Hz)では基準(1KHz)の10倍の増幅度を持たせ、高音(20KHz)では基準の1/10の増幅度になる様な周波数特性を持たせ、トータルとしてフラットな周波数特性になるよう設計されています。
また高音部の増幅度が小さい分、レコード特有のスクラッチノイズなどを軽減する効果もあります。


 MM型カートリッジの標準的な出力は数mVですので、通常イコライザーアンプでは30〜100倍(1KHzで)程度の増幅度を持たせる事が多いです。
高音部(20KHz)では基準の1/10の増幅度ですので、3〜10倍程度の増幅度になりますが、低音(20Hz)では10倍の増幅度が必要ですので、300〜1000倍も増幅しなくてはならず、これは結構難易度の高い回路となります。
 従ってレコードを再生する場合は、このイコライザーアンプの完成度によってプリアンプ、引いてはオーディオシステム全体の音質を決めてしまう、と言っても過言ではない程重要なアンプとなります。

 MC型のカートリッジでは、MM型よりも出力が小さいので更に大変です。
一般的には、イコライザーアンプの前にMC専用の昇圧トランス又は、MCベッドアンプを設け予めMM型と同じ程度の出力電圧にまで増幅してから、イコライザーアンプに入力するタイプの製品が多いです。


 プリアンプにはレコードの他、CDプレーヤーやチューナー、その他の信号などが接続されます。
プリアンプの主な機能は、それらの信号から聞きたいものを選択して、ボリュームコントロールで音量を調整するという事です。
そしてメインアンプに信号を送るためにフラットアンプで信号を整えた後出力します。

 一昔前のプリアンプには、その他にトーンコントロールという回路が装備されている製品が多く有りました。
 トーンコントロールとは、音のバランスを聞く人の好みに合わせて調整出来るように、低音と高温(製品によっては中音も)を増強したり、逆に減らしたりして音のバランスを可変出来るようにした回路の事です。
 以前のステレオは、トーンコントロールで低音と高温を少し持ち上げると、良いバランスになる製品も多く有り、トーンコントロールは有効な機能として標準的に搭載されていました。
しかし、良く効く薬には副作用が有るという事と同じに、トーンコントロール回路にも副作用が有りまして、音の透明度が落ちるというリスクが有りました。
 最近のアンプやスピーカーの性能は大変良くなり、特にトーンコントロールなどを使用しなくても、程良いバランスで再生する製品も増えて来た事で、トーンコントロールによる副作用の方が目立つようになり、現在ではトーンコントロールが搭載されていない製品が主流となっています。

 プリアンプ最終段のフラットアンプは、音量などが調整された信号を、メインアンプが最適に動作できる電圧に増幅して出力すると共に、プリアンプ−メインアンプ間を接続する、ケーブルなどの影響を受け難くするバッファー(緩衝)アンプの役目も担っています。

 PCオーディオやCDプレーヤーなどのディジタルシステムは、メインアンプを充分駆動出来る出力レベルが有りますので、音量調節用のボリュームさえ有ればプリアンプは使用しなくてもシステムを構築する事が出来ます。
 但し、ハイグレードのオーディオシステムでは、CDプレーヤーを直接メインアンプに繋いだケースと、プリアンプを介したケースを比較すると、プリアンプを使用した方が良い音というか、心地良く聞こえる事か多いです。
これは恐らくプリアンプに実装されているフラットアンプのバッファー機能が、効果的に作用するものと思われます。


 高級オーディオアンプに使用されるアンプに、DCアンプというものが有ります。
DCアンプとは、0Hzの直流(DC)から増幅する事が出来るアンプの事で、通常は計測器等の工業製品に使用されることが多い回路です。
 以前のオーディオ業界では、20Hz〜20KHzまでの可聴範囲さえ確りと増幅出来ればそれで充分である、という考え方が主流を占めていました。
また素子の性能や回路技術の点から、アンプの周波数特性も20Hz〜20KHz(±3db)程度のものが多く有りました。
しかし、アンプやスピーカーの性能が徐々に向上するにつれ、周波数特性や歪率といった直接的な特性の向上以外にも、雰囲気というかリアル感というか、音以外のニュアンスの様なものまでが要求されるようになって来ました。
 そうするとアンプに要求される周波数範囲も、次第に広範囲のものが必要になり、究極のアンプとして登場したものがDCアンプという訳です。
勿論上記の計測用のものとは違い、オーディオ用として新たに開発されたもので、その特性は0Hz〜100KHz以上という広帯域のアンプです。
 ただ、実際のオーディオには直流は必要ないどころか、むしろ害となりますので、オーディオ信号に直流成分は、含まれてはならないものなのです。 これは大きな矛盾となります。

 そこで通常は、イコライザーアンプ、フラットアンプなど、各アンプのベースとなる回路に、DCアンプ回路を使用し、その入力または出力にコンデンサーを介し、信号に含まれる直流分をカットするという方法を採用しています。
このコンデンサーの事をカップリングコンデンサーと呼び、DCアンプばかりではなく通常のアンプでも、広く一般に使用されています。

 コンデンサーという電子部品は、大変種類も多く広範囲で使用されている部品です。
しかしこの部品は、音に影響を与える確率が大変大きい部品でも有ります。
そこで電気的性能だけではなく、音にも注目して開発した、オーディオ用のコンデンサーも数多く存在します。

 オーディオアンプを自作する、クラフトマニアの間やオーディオ専門誌では、どこそこのコンデンサーはこんな音がする、という会話や、コンデンサーの音質比較などの特集記事がよく掲載されています。
それだけ、コンデンサーは音に影響を与える部品なのです。

 それではいっその事、カップリングコンデンサーを省くという事も考えられますが、イコライザーアンプで説明しました様に、プリアンプの低音はRIAAカーブによって増強されており、20Hzではトータル1万倍以上の増幅度を持っています。
これでは幾ら安定度を強化した回路で有っても、ほんの一寸した温度変化などで、直流成分が出力されてしまう事が有りますので、イコライザーアンプの出力などに、最低1か所はカップリングコンデンサーが必要となります。

 当社のプリアンプ、「URS−100」の特徴をご説明させて頂きますと、URS−100では独自のDCサーボ回路により、このたった一つのカップリングコンデンサーをも取り去る事に成功しました。
 当社のメインアンプ、UPA−70Vも当然の事ながらDCアンプですので、URS−100とUPA−70Vとを組み合わせたシステムは、MCカートリッジからスピーカーまでの間に、一つのカップリングコンデンサーも存在しない、完全直結のシステムが構築出来ます。
 コンデンサーなどの色付けのない、無色透明でありながら、どこか暖かく自然な感じの音を、是非一度ご自身で体験して頂きたいと思います。


 またURS−100は、MM型、MC型それぞれに見合う専用のイコライザーアンプを内蔵しています。
MM用イコライザーアンプは、標準的なMMタイプのカートリッジに合わせた設計をしています。
MC用イコライザーアンプは、MCヘッドアンプや昇圧トランスなどを必要としない、ハイゲインのイコライザー回路を採用していますので、MCカートリッジからの信号を、ダイレクトに接続できる設計になっています。
 MM型とMC型のカートリッジにはそれぞれに特徴があり、どちらも捨てがたい魅力が有ります。
URS−100は、ダブルアームのプレーヤーに、それぞれのカートリッジを装着しレコードによってカートリッジを聞き分ける、なんて事も簡単に行う事が出来ます。


 URS−100の特徴は、上記以外にもプリント基板の材質と、金メッキが有ります。
 プリント基板の材質として一般的には、ガラスエポキシという材質の基板が使用されます。
ガラスエポキシ基板は、特性的にも優れた大変使い易い基板材です。 当初は当然の事としてガラスエポキシで試作を行っていましたが、携帯電話などの基板に使用されている、更に高性能な基板材、“BTレジン”という物が有る事を知りました。
 BTレジンは、優れた高周波特性など、数々の特徴を持った基板材ですが、私はその中でも耐湿性に注目しました。
日本は高温多湿の気候で、プリント基板なども長期間使用していると、多湿の影響で、カビが発生するなどが考えられますが、BTレジンの耐湿性によって長期間ご使用頂けるのではないかと思い、オーディオ用基板としては、殆んど例のないBTレジンのプリント基板をテストして見る事にしました。

 URS−100に使用しているプリント基板は、全面金メッキ処理を施しています。
これは何も、高級感を演出するために行っている訳では有りません。 音に良い事は何でもトライして見ようという事で、金メッキを採用して見る事にしました。
 プリント基板に金メッキ処理を施す事は、比較的よく行われる手法で特に珍しい事では有りません。
殆んど場合金メッキの加工は、フラッシュという手法で行われています。
フラッシュとは、金属などの表面に色付けする時に使われる方法で、非常に薄い(約0.03ミクロン)メッキ層が形成されます。
しかしこれではあまりにメッキ層が薄いため、金メッキの効果が得られないのではないかと思い、URS−100ではもっと厚いメッキが出来る、ボンディングという手法の金メッキをテストして見ました。 この方法では、フラッシュの7〜8倍のメッキ厚を形成する事が出来ます。





 URS−100の開発中、回路構成はほぼ決まりましたが、プリント基板をどうするかという時に、ガラスエポキシ基板にフラッシュ金メッキを施した基板と、BTレジンにボンディング金メッキで作った基板の、音の聴き比べたを行ったことがあります。
その時、両者の音の違いに、愕然とした記憶が有ります。
両者とも大変良い音で有る事は間違いありませんが、BTレジン+ボンディング金メッキの音は、何とも言えない優雅さと気品のある音で、高級シルクをイメージする様な感覚に捕らわれる音がしていました。
 そこでコスト的には大幅なアップには成るけれど、この音には代えられないとの事で、BTレジンとポンディング金メッキの基板の採用を、決定したという経緯が有ります。


 <メインアンプ編に続く>


オーディオあれこれ その1
(レコード編)
オーディオあれこれ その2
(プリアンプ編)
オーディオあれこれ その3
(メインアンプ編)
オーディオあれこれ その4
(コンパクトアンプ編)
オーディオあれこれ その5
(ハンダ・ケーブル編)
オーディオあれこれ その6
(スピーカー編)
有限会社ユニオン技研